第3章 異文化理解教育の実践の視点
第1節 異文化間におけるコミュニケーション能力とは何か
1.文化とコミュニケーションとの関わり
John C.Condon Jr(異文化間コミュニケーションの研究者)は、『異文化間コミュニケーション』(近藤千恵訳、サイマル出版、1980年)の中で,文化について、次のように述べている。
文化とは、個人の人生、生活に対する見方、期待のあり方、行動の仕方、その人にとって当然とか常識とかと考えられるもの
|
濱本秀樹は、『多文化世界の意味論』(松柏社、2001年)の中で,コミュニケーション論でのコミュニケーション(広義)の定義について、次のように述べている。
ある人の行動、反応あるいは行動の結果の産物に他者が反応する場合、この一連の連鎖をコミュニケーションという
|
川端末人は、「異文化間コミュニケーションと教育」(石坂和夫編集代表『国際理解教育事典』創友社、1993年)の中で,文化とコミュニケーションは密接な関わりを持っていると指摘し、
人は日常の生活様式として文化の中で考え、言語、非言語、生活規範、価値観などを学習しながらコミュニケーションを行う。人間の文化はコミュニケーションによって成立するし、発展するし、コミュニケーションは文化として機能する。
|
多田孝志は、『学校における国際理解教育―グローバルマインドを育てる―』(東洋館出版社、1997年)の中で,異文化間コミュニケーションのついて次のように述べている。
「確かに、我々が異文化と接触したとき、未知なもの好ましく感じられないものであればあるほど恐れや違和感をもつ。」
「異文化間コミュニケーション能力とは、文化接触による恐れや違和感を越え、完全な理解に至らなくても、出きる限りの相互理解を求めていく為の能力といえる。」
|
以上、研究者の提言から、「異文化間コミュニケーション」を考察すると、
〇「異文化間コミュニケーション」とは、
文化的背景の異なる人々の間におこるコミュニケーションのことであり、そこに
は、文化が関係し、常識や日常と違うことに対して好ましくない感情や恐れ、違和
感が伴う。
〇「異文化間コミュニケーション」における能力とは、
自国の民族的文化を大切にしながらも、同時に「異文化(異人種)をも認め合い、
相手の立場にたって考えること」、「対話や討論によって他者との出会いを経験し、
共同作業によって他者との差異よりも、出来る限り“共通性”にこころを向ける姿
勢や態度」という能力である。
2.異文化間コミュニケーションの領域
(1) 言語的コミュニケーション
(機能)①周りの状況について客観的な情報を伝達する機能
②自分の感情を伝達する機能
・言語コミュニケーションの簡単なコードモデル
発話(source) 媒介(channel) 聞き手(responder)
内容 → 記号化
content encoding
|
→message→
|
認識→ 脱記号化→ 内容→ 理解(反応)
perception decoding content response
|
↑ ↓
← ← ← feedback ← ← ← ← ←
・メッセージとは、発話が典型である。笑いかける事・手を振る事・貧乏ゆすり・爪を噛むこと・頭を振る事・相手との距離など他者に認識され、反応を引き起こすならばメッセージとなる。
(2)非言語的コミュニケーション(ノンバーバル)
異文化間コミュニケーションにおいて成功する為には言語コミュニケーションにおける文化の影響だけでなく、非言語コミュニケーションにおける文化の影響についてもよく理解しておかなくてはいけない。(空間・しぐさ・パラ言語的要素・沈黙など)
3.育成する能力について
①文化的背景を見取る能力
言語や非言語による表現は、生活文化の積み重ねがあり、その共有の上にこそ通達可能性(コミュニカビリティ)をもつという(川田順三)。
外の文化に興味を持ちつづけるたけでなく、自分の行動の文化的原点を見直すことや、文化の多様性と普遍性について、一人一人があらゆる機会に認識して行く。また、異文化をもつ人の行動様式や思惟方式の文化的背景を見取る視点を意識的にもちつづける事が大切である。
②自己表現能力
異文化共生社会における自己表現能力とは,単に自己の考えや思いを語ることでなく、相手を意識し、引き付け説得する力をいう。内容が重要であり、内容と共に個性的な考え方、感じ方、受け止め方である。自分の考えや意見を的確に、説得力を持って表せる能力の育成が必要である。内容面では、論理的な組み立て、鋭角的な見方、適切な例示の仕方、外面的には、相手を見つめた語り方、また身振り、表情までをも含んでいる。
③聴解能力
相手の意見や思い的確に聞き取ることは、コミュニケーションの基本である。「聞く」とは、その内容を受けとめ、批判、疑問、反発、共感、怒り、感動など、自分自身に問いかけ自己の内側から新たなものを生み出して行く行為であり、それは受身ではなくむしろ能動的・積極的な行為である。「聴解能力」の向上には、分析力や洞察力、構成力などを高めていくことか必要である。また、聞く事で大切なことは、自分の価値観だけで相手を理解しないことである。相手の立場、価値観、生き方などを理解する姿勢が異文化をもつ人々との交流には特に重要である。
④討議能力
話し合いへの参加は、参加者全員が責任を持つことであり、自己表現の義務を有
する、民主主義の基本理念を具現化したものである。したがって、基本的ルールは、
参加者相互が互いの見解を尊重しあうと共に、各人が傍観者とならず、自己の考え、
感想を述べることである。さわやかにタイミング良く、自分の意見を述べたり,話し
合いの方向に新たな局面を開く斬新な角度からの発言ができるなど、討議能力を高
めることは、異文化をもつ人びととの交流には必要である。
第2節 異文化間におけるコミュニケーション能力育成の必要性
1.研究者が指摘する日本のコミュニケーション能力育成の必要性
久米昭元は、「異文化館コミュニケーション」(石坂和夫編集代表『国際理解教育事典』創友社、1993年)の中で、
日本のコミュニケーションスタイルは、相手の気持ちを察しながら、間接表現を多用し、敬語を使いながら腹の探りあいをすることが多い。確かに、以心伝心・気ごころが知れる・腹芸・根回しなどは日本社会の特質とされ、また、沈黙は美徳とされ、会議でも発言のしすぎは必ずしも高い評価にはならない。上司の意見に異を唱えるのは不遜とされやすい。
|
Robert J.Smithは『日本社会―その曖昧さ解明』(村上健・草津攻訳、紀伊国屋書店、1995年)
戦後民主主義が日本社会に定着しているように見えても、実は日本的なものは何も変わっていない。互いの感情を重んじる“和”の考えが、結果として「曖昧さ」を生み出す要因となっている
|
このような日本的コミュニケーションの特質は、異文化とのコミュニケーションに
おいて障害となることが指摘されている(1)。
多田孝志は、『学校における国際理解教育―グローバルマインドを育てる―』(東洋館出版、1997年)の中で、
日本人のコミュニケーション能力のなさは、学校教育のあり方にも一因があると指摘する。「一斉画一型」「教師主導の学習」により、子ども達が自分の考えたことや感じた事を相互に述べあう場面が少なく、このことが受身的で、教師の指示を待つ子どもを増加させている(2)。
|
また、E.M.クレーマーは、「『地球都市』の出現とコミュニケーション」(伊田雅子監修『多文化社会と異文化コミュニケーション』三修社、2002年)の中で、
人口が増え、人々が世界中を移動し、国際的な異文化間コミュニケーションの機会が増えると同時に、地球上の文化の数は減少している。世界では、都市化が進み、「標準化」「単一化」への傾向が著しい。西洋化によって、「地球村」「地球都市」という言葉が現実的に使用されている背景には、マイノリティーの文化が、取り残されている事実を認識する必要がある。コミュニケーション能力を育成するという裏には、強い国家(国と国)中心のコミュニケーション能力の育成という傾向が強い(3)。
|
以上、これらの指摘をまとめると、
1つ「日本的コミュニケーションの障害を克服すること」つまり、「異文化をもつ人々の文化や言語や思想を学習することや、外国語の会話力を学習するだけではなく、豊かな自己表現力、伝えようとする意思力、相手の考えを聞き取ろうとする能力の育成が必要である」
さらに、
2つ「学校現場における教育側の意識の改革や教育的措置としてのあり方を異文化間コミュニケーション能力育成の視点から積極的に改善して行く必要性がある」(子ども達が自由に自分の考えを相互に述べあう場面を増やす)
また、重要な点として
3つ「西洋化中心のコミュニケーション能力育成ではなく、マイノリティーの文化を含めたコミュニケーション能力育成の意識を持つこと」を挙げている。
2.本研究の視点からのコミュニケーション能力育成の必要性
日本の「国際理解教育」のコミュニケーション能力育成」には、西洋中心の傾向が強
く現れている(英語教育中心)。例えば、自国の教育の諸問題を解決する一貫で、外
国語のコミュニケーション能力の必要性を強調しているが、3点いずれも、国際人の育成を目的とした外国語の知識・技能と態度および国際理解は、はじめにでも述べたように、西洋化の流れに対応したものであると考える。
私は、単に国と国とのコミュニケーション(社会的・政治的・文化的)の能力を育成
するというだけではなく、本来、人の持っている自由な生き方や発想を認め合うという
社会性を育成するためのコミュニケーションが重要であるとして、これを本研究の基本
的な考えとしたいと思う。人も国々の文化も自由で多様であることや、それぞれに優劣をつけることはできないということを学ぶには「異文化理解教育」の「共生教育」の場が最適である。また、人が人としてコミュニケーションするということであり、これは同じ文化や言語であっても「自分のメッセージ」を相手に伝えたり、「相手のメッセージ」を受取り理解していくということは、簡単ではない。人と人とのコミュニケーション能力を育成することによって自分を知り、相手を知り、共に何かを為すことで、共生の意味を考え、人間として生きることの難しさや楽しさを学び、将来の人生を生きる上での基礎を学ぶことが、このコミュニケーション能力育成に最も重要な部分であると考える。
それには、研究者が指摘しているように、コミュニケーションの土壌の障害を乗り越えるためにも、日本人同士のコミュニケーションだけでなく、異なる人たちとのコミュニケーションにより、表現能力を伸ばしていくことが不可欠であると考える。その中で、自分自身を見つめ、自分の視点で物事を認識し理解する力を育成するということや、さらには、自分の夢や目的を実現するためのコミュニケーションの意味を学んだり、国と国は違っていても、人としての共通点や異なる点を発見し、感じたり、理解するための姿勢や態度を育成することが必要である。それが、言葉(外国語)を生きた言葉として、感じさせ、外国人を同じ人間として認識し、発見して行くことで自分自身を発見し、それを表現することを学ぶ姿勢につながると考える。また、子ども達にある「英語コンプレックス」を軽減することにも繋がり、積極的にコミュニケーションしようという姿勢や外国語教育にも良い影響を与えるのではないかと思っている。
第3節 異文化間におけるコミュニケーション能力育成の具体的方法
1 表現力の育成について
(1)自己表現力の育成
①声に出して読むことや朗読の活用:声に出して読むことにより、同時に文章の内容を理解していくことと、朗読を通じての表現力育成により、自己の内面への表現と他への表現が結びついてコミュニケーション能力の基盤となる。
②即時的表現力の育成:日常的なトレーニングとして次のようなトレーニングを行う事が効果的である
(a)他者紹介
(b)模擬解答
(c)課題スピーチ-4~5名の子どもに教室の前に出てきてもらい、1人
づつ順次、課題について話しをさせたり、自分の意見を述べていく。
指名後、通常1から2分の時間を与え、話す時間は、2分程度とする。
③スピーチ・プレゼンテーション力の育成
自己を語るだけでなく、「話し」に、他者をひきつけたり、納得させたり、
共感を持たせたりすることができるようにトレーニングする
(a)話す内容:聞き手にとって興味のある情報を準備する
(b)創造性・個性:自分の気づき発見、感想を盛り込む
(c) 構成:話し始め、事例の例示、終末など、話し全体の構成を工夫させる。聞き手を意識した構成の工夫をする
(d)表現:声の大きさ、間の取り方、顔の表情、姿勢、手の動き、目の輝きなど、聞き手を引き付ける表現力に留意する。
(e) 補助資料:実物や写真など補助資料を提示する事で聞き手を集中することができる。
(f) 個別指導と体験の継続:子どもの持つ個性的な体験や独自の情報を教師が収集しておく、それらの素材を子どもに提供し、話しの構成を手助けする。さらに、事前の練習をし、勇気付け、励まし、自身を持たせて、1対1でスピーチへの意欲を高めていく。
(g)相互評価の活用:スピーチ力の向上には相互評価が効果的であるとして、相互評価の観点(4項目)①内容②独創性③構成④表現力
④その他
(a)発表・報告(個人・グループ)
グループの場合、学級全員の前で報告し質疑応答を受けるのが普通。
(b)インタヴュー
事前のプラン(聞き出す為の話題選択や内容の整理)が重要である。
①事前に目的を伝え許可を得ておく
②相手のプライバシーへの配慮
③事後の謝辞や礼状などマナーについても留意させる
(2)聴解能力の育成
①聞くことの意識化
授業中に意見や感想を数多く発表させることや友達のスピーチ後に感想を述
べさせるなど日常の行為の累積が大切である。
② 聞き取り方(内容・方法)
(a)相手の話しの内容を聞き取る-話しの大筋を聞き取る。話しての意図を推測しながら、中心点を確かめる。
(b)自分の意見との違いを考えながら聞き取る-解らないところを聞き返す、自分なりの感想(共感・反発・疑問など)をもち、見解や感想を比較する。
(c) 見方・感じ方・考え方の多様さを聞き取る-話しの内容やいろいろな意見を分類分析し整理する
(d)相手の立場を理解しながら聞く-文化的背景や現時点の立場、心情などを理解しつつ、話し相手の意図を洞察する。
③ 書くことの活用
観点(相手の話しの概要・自分と意見が違う点・同じ点・その理由・相手の話しから想起された自己体験など)などについて、それぞれが工夫して書き取ることを行う。書くことにより、聞くことの意識化と積極的な聞き取り能力の育成に役立てる
(3)討議するための能力の育成
①話し合いのトレーニング(ゲーム感覚のもの)
(参考例)情報は正確か?―1人に情報を伝えて、また次の1人に伝えていき最後にその情報が正しく伝わっているかを競うゲーム
②討議能力を育成する方法
(a)題材の大切さ(題材選択の視点)
・子どもが関心をもつ題材
・子どもが疑問を持つ題材
・生活とのつながりある題材
・多様な視点から考察できる題材
・子どもの見方や思考が深まっていく題材
(b)話し合いの技術の向上
・司会の役割(多様な問題点を整理し、方向をはっきりさせ話し合いを深め、意見の違いの根拠をはっきりさせ、生きた人間関係の形成に配慮する)
・参加者の自覚(自分の意見を持つ、他者の意見を聞いて、自分の考えを深める。話し合いの方向を捉えて発言すること、自分の意見にこだわらず、他者の意見を尊重し合意形成へ向かう)
・発言の仕方(聞き手にわかりやすいように自分の意見やその根拠を明確にする)
・その他、体の向き、表情、挙手の仕方の工夫、この字型、扇形、グループ型、対面方式など場の設定を考慮する。また、事前調査の重視、作戦会議の活用、子どもの体験を活かす、少数派の意見を前面に出すことなどが考えられる。
(c)討議能力を高める学習活動
【ディベート】(あらかじめ設定された立場に立って行う討論ゲーム)
テーマを決め、賛成側と反対側のグループを作る。自分の意見をタイミングよく述べたり、相手の意見を的確に聞き取る力を培ったり、また、自分の考えに固執せず柔軟で多面的な見方・考え方を身につけるための訓練。
(方法)
①プレゼンテーション(賛成側)
②質問(反対側→賛成側)
③プレゼンテーション(反対側)
④質問(賛成側→反対側)
⑤作戦タイム
⑥相互の反論
⑦作戦タイム
⑧結論(賛成側)
⑨結論(反対側)
⑩判定
◎所要時間は、2時間継続して行いたい。事前のリサーチによる客観的資料や根拠に基づく発言が説得力をもつため重要である。
【グループワーク】
グループの構成員は、4~5名で、調査や意見交換など様々な場面で日常的に活用できる学習スタイル。ここで大切な事は、構成員の一人一人が責任のある仕事を持つことである。また、その仕事も順次交代して行くことが望ましい。
【ブレーンストーミング】
世界の諸問題などのテーマについて話しをし、子ども達にできるだけ多くも問題点を指摘させ、解決策を提案させる。子ども達の意見はすべて尊重し、批判や取捨選択をしない。すべての意見より出された案を全員で話し合い、すべての案を検討し、最終的に最良と思われる解決策を決定する。
【ロールプレイ(役割演技)】
(目的)テーマについての関心を高めたり、他者の立場に立った視点を養うのに有効である。生徒2名(または4名)で演じ、各場面の時間は1から5分である。
(方法)
・指導者が場面に至る経緯、登場人物について説明する。
・演じたい希望者を決める。(意図的指名でもよい)
・演じる人に、1・2分の考える時間を与える。
・演技させ、問題場面での演技者の動作や主張を見取る。
・終了後「解決に達した」「問題を十分に追究した」「演技の工夫」「演技中に感じた事」などについて演技者の感想、観客の感想を出し討議する。
・重要場面や問題場面で「フリーズ」と教師が声をかけ、場面を中断させ、その折の感想や考えを出させたり、途中で役割を交代させたり、演技者にオブザーバーをつけ、演技の途中で相談させる方法も思考すると良い。
他には、【シュミケーション】(大勢のロールプレイ20分から1時間程度)、
【模擬裁判】(子ども達が原告・被告・弁護側・検察側・裁判官のそれぞれを担
当し、裁判形式で討論するもの)、【模擬国連会議】(国連総会や安全保障理事会
を模して、話し合いをさせるもの)などがある。
2 教育現場のリサーチ(九州県内の小・中学校)
(1)生徒児童の実態調査
公立小学校では「総合的な学習」の授業と公立中学校では「英語」の授業で「ペルーの文化-インカ帝国と南米の社会について-」の紹介をし、その前後および授業中の様子や子どもたちや担当教師とのインタヴューやアンケート調査(参考資料③④)による実態把握を試みる。
①佐賀県内の小・中学校で各1時間づつ、小学校5年生(2クラス)と中学校2
年生(2クラス)で実施する。
② 教材は、地図・地球儀、ペルーの旗、ペルーの衣装(チュージョ(帽子)・オルナメント)、民族楽器(サンポ-ニャ・ケーナ・チャランゴ)、CD(ペルーの音楽)とビデオテープ(ペルーの紹介ビデオ)
③ 児童・生徒の反応と行動について観察する
④ 児童・生徒へのアンケートとインタビューの実施
⑤ 教師へのインタビューの実施
≪調査事例①≫:小学5年生のクラス(総合学習の時間を活用)
【児童の反応と行動】
・クラスの印象:35人の人数で、生徒間でのコミュニケーションが活発
であり、私(外国人留学生)に対しても積極的にコミュニケー
ションとろうとする。明るい雰囲気のあるクラスである。
・担当教師が私を紹介したときは、日本語で紹介し、授業は日本語中心で調査を進めた。
・授業前に、クラスの外で挨拶したとき、私を見て、緊張して下を向く児童が教師の指導に促されるようにしなければ、目を見て話しをすることが出来なかったりした。「こわい」という言葉を口にする児童も数人いて、あまり外国人との接触が少ないことやどう接したらいいのか分からない様子だった。
・授業を進めて行くうちに、緊張もだんだんとれてきて、ペルーの話のほうに集中して行くようになる。だんだんクラスの雰囲気も楽しくなり、ペルーについて質問を積極的に発言するようになった。
・授業の後半では、質問時間が足りなくなって、質問をつづけようとっして声が大きくなったり、異文化に対して理解したいという気持ちの強くなっていったのか授業後も質問は続いた。最後には、笑いも多く出るようになり、リラックスした表情を伺うことができた。
[子どもたちからの主な質問内容]
①民族衣装・挨拶の仕方・国旗の意味
②ペルーの伝統的な行事(祭りについて)
③ペルーの主食料理について
④ペルーの有名な人物・建物・場所
⑤人の多い場所・文化・遊びについて
⑥ペルーの子ども達のことについて(学校・家庭生活など)
⑦私への個人的な質問(容姿や個人的な興味のあることについて)
【生徒へのインタビュー】
授業中に、コミュニケーション能力を把握するため以下の質問をした
① ペルーについてのイメージをしゃべってください
②日本の祭りについてその内容や意味があるのか、踊り方を教えてください
≪子どもの反応≫
実際に、私の国ペルーについて知識がなくても、想像力をつかってイメ
ージしたり、聞いたものについての質問や意見を気軽に聞かせてくれるなど、少しずつ自分なりの意見を表現出来ていた。小学5年生の児童は、異文化に対する興味や関心は強い事が分かった。また、クラスの皆で考えて、一人ひとりが教えようと日本の祭りについて言葉とゼスチャ-で伝えようとがんばってくれた。用意された教材についてもペルーの祭りや音楽への興味やイメージを膨らませるためには効果的だったと思われる。
【教師へのインタヴューと感想】
-40代女性、明るくて親しみやすい雰囲気があり、生徒とのコミュニケ
ーションが十分とれている感じがする。異文化理解教育についての認識
があり、多様な文化との接触や理解、お互いに協力する姿勢が大切であ
ると子ども達に説明することができる-
・授業中は、祭りと遊びをポイントにして質問していき、日本の祭りと
遊びについての説明をした後、ペルーについての祭りと文化について質
問を子ども達から私にすることをうまくサポートしてくれた。
・授業後インタビューをした、この授業の感想については、この授業が一番良かったと話す。理由は、子どもたちが興味を持ち、子どもたちの表情が豊かになると話す。国際交流は、実際の外国人や文化を話す事で、子どもたちのイメージがより具体的なものになるため、必要なことだと考えていると話した。ダンスを促されて一緒に踊ったり、サッカーをしたりすることを頼まれ、皆と行ったが、楽しい時間となった。そして、ゲーム感覚で終わってしまう国際交流の授業ではなく、中身のある授業にするためには、具体的なカリキュラムの提示は不可欠である気持ちが強くなった。人と人をつなぐ言葉や共生としての異文化理解の授業をするためには、今後の児童・生徒への意識面での働きかけと継続をどれだけ深められるのかが課題である。
≪調査事例②≫:中学2年生のクラス(英語の授業を活用)
【生徒の反応と行動】
・クラスの印象:約32名、おとなしい感じのするクラスで、生徒間でのコミュニケーションの様子も活発ではない。始めの印象は、生徒の表情がやや乏しい感じがする
・日本語で、あいさつしたり、日常的な挨拶や言葉かけに対して、あまり返事が返ってこない。
・授業中を通して、ペルーの文化や南米の社会について、特に興味を示すような言葉や態度などは見られなかった。
・ペルーの楽器や衣装についての教材では、触ることはあっても、質問や感想などの言葉はなかった。
・授業全体を通して、コミュニケーションを積極的にしようとする態度や姿勢は、殆ど見られなかった。
・授業の最後の方で、1、2言ペルーについての質問をしてくれた生徒がいたが、それは教師からの促しにより消極的に行われたものであった。
【生徒へのアンケート】
[国際社会の関心と国際性の素地についてのアンケート結果]
・外国についての興味・関心の有無
ある … 29人
ない … 3名
・行きたい国について
全員行きたい国があると回答
(例えばヨーロッパ・アメリカ・イギリスなど)
・外国語の興味の有無
ある … 29人
ない … 3人
・外国や外国人についてのイメージについて
①外見についてイメージする … 11人
(鼻が高い・背が高い 9人、かっこいい2人)
②性格についてイメージする … 12人
(やさしそう、おもしろそう7人、ハキハキしている・は
っきり判断する 2人、こわい3人)
③文化の違いをイメージする … 3人
④外国語(英語)をイメージする … 2人
⑤無回答 … 3人
・外国人と日本人の違いについて
①外見の違いを回答 … 16人
(身長が高い9人、顔つきの違い(目・髪・肌の色)7 人)
②文化の違いを回答 … 12人
(食生活3人、ことば4人、人種・文化3人、生活習慣
2人)
③性格の違いを回答 … 2人
(ものの考え方、意見をはっきり言う)
④無回答 … 2人
・外国人と日本人の共通点について
①人間 … 15人(生きている2人含む)
②その他 … 5人
(お互いを思う気持ち1人、家族にやさしい1人、おも
しろい感情豊か2人、食べる事・絵を書く事1人)
③無回答 … 12人
・外国についての知識の有無
ある … 13人(少しある4人含む)
ない … 16人
無回答 … 3人
・外国旅行の有無
ある … 3人
ない … 29人
以上のリサーチの結果、このクラスの生徒たちは、小学校5年生の反応に比べると表情や発言回数や積極的な態度が非常に少なく、異文化に対して関心が低く、表現能力も低いように感じられることがあった。しかし、アンケートの結果によると、外国体験がある者は非常に少ないのに対して、外国への興味・関心は高く、外国語への興味もほとんどの生徒が示していた。生徒たちは異文化への興味やコミュニケーションの意欲はあるものの、それを表現するのが苦手なようだ。また、外国や外国人についてのイメージは、英語圏の人種、外見面(容姿)や性格面(おもしろいなど)での興味に関心が偏っていた。
外国人と日本人の共通点についての質問では、クラスの半数が、「同じ人間である」と回答しており、その点では国際理解教育の基礎的な考えが出来ているように見える。その反面、残りの半数の回答が、無回答であったのは非常に気になる点である。
【教師へのインタヴューと感想】
-30代の女性で、ニューヨークに留学した経験がある教師。英会話のレベルは、ある程度十分であると思われる(日常会話)。私とは、面識はなく、今回はじめて出合った-
・英語の会話能力は日常会話は十分出来ていた。しかし、授業になると私
と生徒と教師の日本語や英語でのコミュニケーションがうまく取れなかった。授業以外では、教師とのコミュニケーションは、(英語のみであったが)日常的なコミュニケーションは、十分にとれたのに、授業にはいると、うまく行かず残念な気がした。
・教師と児童生徒とのコミュニケーションが少なく、クラスの雰囲気もコミュニケーションする環境が整っていなかった。「この授業にどうでしたか」と訪ねると、「授業は、おもしろかったけど、子どもたちは、静かでしたね。」とだけ答えた。インタビューは、この1つの質問の会話で終わってしまった。「子ども達が静かでしたね」という教師の感想が少ないことに、多少戸惑うことがあったが、教師側のコミュニケーション能力育成の視点が乏しい感じがする。しかし、私もどのように接したら良いのか分からずに終わったことは、この後の課題として、考えなければいけないと感じた。
≪調査事例③≫:中学2年生のクラス(英語の授業を活用)
【生徒の反応と行動】
・クラスの印象:40弱の人数で、生徒間でのコミュニケーションが活発
であり、私に対しても気軽にあいさつをしたり、握手を求めたりする。積極的な態度でクラス全体が明るい雰囲気がある。生徒の表情は明るい。
・授業の前に、クラスの外で挨拶したとき、教室の外だったので、一人
一人と握手していった。とても仲の良い雰囲気だったのでスムーズに授
業に入ることが出来た。(私が来る事を事前に知っていて、準備していた
様子だった)
・生徒たちは、私に英語の質問内容ついて、いくつか用意してくれていて、
英語の先生が私を紹介したとき、多言語が話せると生徒たちに教えたので、英語以外の言語、スペイン語・ポルトガル語・イタリア語・フランス語の言語を使って授業を実施した。(日本語をまったく使用しなかった)
[生徒たちの質問内容(すべて英語を使って)]
①ペルーの学校の様子(何時から何時までか、週何日あるのか)
②ペルーの言語について(スペイン語と原住民族の言語(ケチュア・アイマラ語)
③「コンドルは飛んで行く」はペルーの音楽ですか?
④ペルーの祭り、文化について(ペルーの音楽で皆とダンスを行った)
・英語以外の言語に対して、生徒たちは驚いた様子で、興味をしめしていたが、どの言語が何語かほとんど認識はできていなかった。
・授業が済んだ後は、いつまでも生徒が帰らないで、英語を使っていろいろな質問をしてくれた。英語を使って、積極的にコミュニケーションするという態度だけでなく、話しをすることの楽しさを感じている様子が見られた。
・教師や生徒どうしが仲良くコミュニケートションしていて、クラスの雰囲気も明るくて楽しい感じが印象的だった。
【生徒へのアンケート】(アンケート内容は資料②)
生徒のため前回のアンケートと別に「授業についてのアンケート」を作成し授業の最後に、生徒全員に実施した。
[授業についてのアンケート結果]
・外国についての興味が持ったかどうかは、
はい … 23人
いいえ … 1人
・興味の内容については、
言語のこと … 8人
文化のこと … 4人
言語と文化のこと … 6人
言語・文化・歴史 … 2人
その他 … 2人
無回答 … 2人
・これから外国人と話したいですかという質問には、
はい … 18人
いいえ … 6人
〇はいと答えた理由については、
①いろんな国を知ったり、人と接したい… 6人
②楽しそうだから … 5人
③英語がうまくなりたい … 5人
④その他 … 2人
・知っている日本にいる外国人については、実際に習っているALT
のことを書いていた生徒 … 8人
・この授業の感想については、
①ペルーの地理や学校のこと、言語や音楽についての感想
… 12人
②とても楽しかった、もっと長い時間話しをしたかったと
いう意見 … 7人
(地理:山脈・海岸・ジャングルがあること)
(学校:小・中学校が一緒になっていることや授業が午
前中までで終わること)
(言語:スペイン語と他言語があること)
(音楽:手作りの楽器について)
③知らなかった外国人が来たのでびっくりした… 1人
④アポンテさんは、ジーコに似てない … 1人
⑤わからないことについては「ことば」という生徒…7人
⑥無回答 … 1人
以上、リサーチの結果、このクラスの生徒たちは、調査事例②の生徒と比べると、外国人への興味・関心がやや高いと感じた。そして一人ひとりのコミュニケーション意欲も表現能力も豊かであることが分かる。異文化や言語や民族に対しての関心もあり、外国語を使って外国の人と交流したいという意見が多く聞かれた。英語教師の学習指導の影響やALTの存在が原因だろうか。授業は、ほとんど日本語を使わず、英語を使って行われた。
アンケートの結果では、ペルーの文化にも興味を強く持ち、言語や楽器に興味を示しているだけではなく、歴史や文化が知りたいという感想などが書かれていた。これは、英語圏だけではなく、異文化を積極的に理解しようという姿勢の現れと考える。しかし、英語学習のためか、外国人と話してみたい理由には、「英語がうまくしゃべりたい」と書いた生徒が多く、英語学習に対しての意識が強いことを感じた。生徒たちは異文化と交流するためには、英語学習が不可欠だという認識が強いのではないかと考える。また、授業での感想の「分からないこと」の欄に「ことば」や「英文など」といった記述があることから、この授業で使った英語に対して、難しいといった印象が多くの生徒に残ったのだと思う。英語以外でのコミュニケーションの視点は少ないように思う。そして、生徒たちの英語学習の視点をどうコミュニケーションの視点に広げて行くか中学生のカリキュラム計画の難しさを感じた。
最後に、このクラス全体的のアンケートの回答率は高く、無回答が2人と少なかったことは、良かったと思う。
調査事例②と調査事例③の生徒の表現能力の差異や積極的な態度の差異は、何が作用しているのか大きな疑問として残った。考えられる点は、クラス環境の違いである。担当教師と生徒とのコミュニケーションがうまく行っているかどうか、また、担当教師と私(外国人留学生)とのコミュニケーションがうまく行っているか、さらに、生徒と生徒間のコミュニケーションがうまく行われているかどうか、そして、担当教師が国際理解教育での視点に立った英語学習を行ない、ディスカッションなどができるような雰囲気づくりを普段からしているかどうかがポイントとなるのではないかと考える。
【教師へのインタヴューと感想】
-30代男性、海外研修を何回か経験しており、英会話はある程度のレベ
ルがある。また、英語に関してもコミュニケーション能力の重要性を十分
把握した指導が出来る教師である(彼は、大学院のクラスメイトであり、
日ごろ会話をする機会も多く、コミュニケーションも多い)-
・生徒と教師のコミュニケーションが活発に行われているため、質問やデ
ィスカッションが気軽にできるような雰囲気づくりができている。
・事前に私が訪問することが分かっていたので、前準備(私の情報や英語での質問)をしていた様子で、異文化理解の授業に対しての認識があり、私との授業の進行もスムーズに行うことができたことは良く、教師との関係の有無が授業に影響を与えることは重要な点であると感じた。
授業後のインタヴューでは、以前の英語教育と現在の学習方法についての意見とをそれぞれ聞いてみた。以前の英語教育のスタイルは、フォーリン・ラングエイジ・ティーチングの影響が強かった。パーフェクト・イングリッシュの習得を目指して学習が行われていた。ドラマティカル・アクセスのいくつかを間違ってしまって、ウエスタンの方が良い、しかも生計を立てることができるという考えがあるような気がするという。コミュニケーション能力育成の実践については、下から積み上げるのではなくて、上から引っ張って行くという学習、基本を一通り学んでから文章を組み立てるのではなく、コミュニケーションの必要な状況があってそれに必要なフレーズをつくりなさいという学習方法の実践は、意味のある言語活動と思われるが、現在はゲーム感覚で学習が主であるという。
(2) 学校での取り組みの実態調査
〇公立小学校では、5・6年生の「総合的な学習時間」を使っての年間指導計画書と外国語学習の有無についての情報収集を行う。
〇公立中学校では、1・2・3年の「総合的な学習時間」を使っての年間指導計画書と英語学習での年間指導計画書の情報収集を行った。
その内容として、
〇「総合的な学習の時間」で「国際理解教育」面での取り組みが行われていたのは公立小学校では、6年生のみであった。内容は、「見つめよう世界の平和」(40時間)や「いままでの自分、これからの自分(自立と共生)」(32時間)などについて実施される予定が組まれていた。
公立中学では1・2・3年生とも「ボランティア活動」が中心のテーマとなっており、「国際理解教育」のカリキュラムの実践は行われていなかった(フリーテーマで短時間の実施については考えられる)。
〇外国語学習や英語学習については、逆に公立小学校では、見当たらなかった。おもに公立中学校で、1・2・3年生の英語教科のなかに「コミュニケーション能力育成」面での取り組みがスキル面と同時に行われる予定が組まれていた。1年生では「英語の自己紹介ができる」2年生では「わたしの好きなもの・こと」「わたしの夢」「夏休みの思いで」などスピーチや文章面での表現力能力の育成カリキュラムがあり、3年生では「海外旅行」「私のすきなもの・こと」「ニュースレポート」「プロフィールを紹介しよう」「私の意見」「ボランティア活動」など異文化理解面での働き掛けも同時に行われる予定が組まれていて、英語学習でのコミュニケーション能力の育成が行われている。
3 実践における課題
リサーチの結果をまとめると、小・中学校の児童生徒の反応と様子からは、外国や外国語に対する興味や関心は、思っている以上に高かった。しかし、英語圏に対する関心が強いことや、異文化コミュニケーションの言葉として英語の意見が多いことから、英語に意識が集中している。アンケート結果からも殆どの児童生徒から、英語に関する意見が多かった。
日本的コミュニケーションの土壌と思われる点は、中学生になるほど気になる
感じがする。中学生ほど、恥ずかしいという感情が表現を少なくしているように
思う。しかし、外国人(英語圏)とのコミュニケーションをしたいという気持ち
は非常に強いものを持っていて、どのように自分を表現したらいいのか、どのよ
うに接したらいいのか、戸惑い困っていた児童生徒が多かったように思う。また、
中学生のアンケートの感想では、英語に対してコンプレックスの現れではないか
と思われる意見があった。
生徒児童は、「総合学習の時間」(国際理解教育)や「教科教育」で、英語のスキルをどう学んだら理解できるのか。どうしたら英語がしゃべれるようになるのかという子どもたちの不安や悩みが現れていたように思う。
以上、この点から、今後の実践における課題として次のようなポイントを挙げる。
1 「外国人=英語」というイメージが強いため、英語だけではなく、英語に対
する強い意識面の転換を促すカリキュラムを作成することは、具体的なコミ
ュニケーションとしての異文化理解教育の実践にあたって必要である。それ
が、実際のコミュニケーションの意味を発見させ、英語に対するコンプレッ
クスの視点を変換することに繋がるように導き支援するなど、配慮する必要
がある。それには、教師との協力(事前準備)が重要であり、教師との事前
のコミュニケーションが授業内容を豊かにすると考える。
2 コミュニケーションには、表現力が大切であることや自分なりの表現するこ
との楽しさや難しさを体験し、コミュニケーションの意味や目的を発見できるようなカリキュラム内容にすることが不可欠である。それは、一度だけで終わるのではなく、子どもたちの興味や関心が形となり将来に渡っても継続や持続することが可能になるようなカリキュラム開発も重要な点と考える。
3 カリキュラム実践も具体的な状況設定を念頭にしたものにすることが大切で
ある。具体的な学習法について(カリキュラム・教材・地域性)を考慮した
内容になっているかを意識することや、コミュニケーションを現実的なものにするための外国人留学生などとの体験学習を通じて、具体的なコミュニケーションのイメージを膨らませる教材の開発がポイントである(知識・技能・態度・姿勢面から)。
4 人と人とのコミュニケーションとして、言葉(外国語)のイメージを広げる
ため、日本語を中心として、英語、スペイン語、ドイツ語、中国語などあら
ゆる言葉には、文化があり、その文化のなかに人としての共通点を発見でき
るよう配慮する必要がある。また、その方法を学ぶという授業計画(内容や
学習スタイル)を作成することが必要である。
5 コミュニケーション能力育成の指導・評価の部分では、態度と姿勢面を中心
にした観察やアンケート・インタビューの記録を保存し、次の課題に繋がる
ように長い時間をかけた分析と評価を行うことが大切である。
6 学校の取り組みに即した実践ができるように考慮し、子どもたちの発達に合わせた無理のない学習時間のやりくりと教師の支援面での柔軟な対応ができるようカリキュラムの内容に配慮する必要がある。
注
(1)多田孝志 『学校における国際理解教育-グローバルマインドを育てる-』東洋館出版社 1997.12 p127
(2)多田孝志 『学校における国際理解教育-グローバルマインドを育てる-』東洋館出版社 1997.12 p127
(3)E.M.クレーマー「『地球都市』の出現とコミュニケーション」 伊佐雅子 監修『多文化社会と異文化コミュニケーション』三修社2002.3.30 p102
(参考資料③:第3章 第3節の2教育現場のリサーチ)
児童生徒の実態についてのアンケート(no.1)
-国際社会への関心と国際性の素地について-
1.外国についての興味・関心がありますか?
はい いいえ
2.外国に関する知識がありますか?
3.知っている外国の名前と言葉は?
4.外国語は興味がありますか?
はい いいえ
5.外国語を習ったことがありますか?
はい いいえ
6.外国人と話した事がありますか?
はい いいえ
7.外国に行ったことがありますか?
はい いいえ
8.行きたいお国はありますか?
はい いいえ
9.外国や外国人についてのイメージは?
10. 外国人と日本人の共通点は?
11. 外国人と日本人の違いは?
児童生徒の実態についてのアンケート(no.2)
-授業についてのアンケート-
-導入段階-(ペルーの文化についての説明後)
私の国ぺルーの文化の授業について
①外国人と話したことがありますか?
はい いいえ
これから話してみたいですか?
はい いいえ
はいの人は、どうして話したいかの理由を書いてください
②日本にいる外国人を知っていますか?
はい いいえ
はいの人は、どんな人か教えてください(国、仕事 など)
③私のペルーの文化について興味をもちましたか?
それはどんなことですか?
言語のこと
文化のこと
歴史のこと
その他
④この授業について、私にアドバイスしてください
気が付いたこと
分らないこと
その他
児童生徒の実態についてのアンケート(no.3)
-コミュニケーション能力について-
(授業後半もしくは授業後に実施する)
外国人である私に、以下の設問に答えてください
問Ⅰ 自己紹介をしてください
問Ⅱ 1.お家でだれとどんな話しをしますか
2.学校でだれとどんな話しをしますか
3.その他、だれと話しをするのが好きですか
4.話しをするとき、聞くのと話すのはどちらが好きですか
聞く 話す
5.自分について話しをするのか得意と思いますか
はい いいえ
6.あなたの話しは、相手によく解っていると思いますか
はい いいえ
問Ⅲ 1.どんな事に興味がありますか?
2.あなたの夢について教えて下さい
(参考資料④:第3章 第3節の2教育現場のリサーチ)
教師のインタビュー No 1
-全部の学校の教師に対して-
1.総合学習の時間の授業がありますか
2.総合学習の時間とはどういう意味ですか
3.どんな風にこの小学校・中学校で取り入れられていますか
4.国際理解教育のカリキュラムはありますか
5.カリキュラムの内容について
6.難しい点・課題点はありますか
7.カリキュラムが無ければ、これから取り入れる予定はありますか
8.国際理解教育とはどういう意味ですか
9.異文化理解教育とはどういう意味ですか
10. 異文化間コミュニケーションとはどんなイメージがありますか
11. 教師の国際性の素地についての質問
(外国生活・外国の友人・外国の知識.コミュニケーション能力・グローバルな視点)
12.教師自身の考え方について
教師のインタビュー No 2
-国際理解教育を取り入れている学校に対して-
1.国際理解教育の指導計画について
2.国際理解教育のカリキュラムについて
3.国際理解教育の授業計画について
4.国際理解教育の評価方法について
5.国際理解教育教材について
6.子どもたちについて
7.難しい点と課題について
8.教師自身の考えかた
9.その他(気付いた点感想など)